【NPOインタビュー】特定非営利活動法人かものはしプロジェクト

murata-san_small2013年9月に発表されたILO(国際労働機関)の報告書によれば、全世界の児童労働者(5歳-17歳)は約1億6800万人と言われています。そして児童労働の中でも子どもを売春宿で働かせることは最悪の労働形態とされているにもかかわらず、無くなることがありません。このような深刻な社会的課題に対し、世界の「売られる子どもの問題」をなくそうと立ち上がり、2002年から活動をされている特定非営利活動法人かものはしプロジェクト共同代表の村田早耶香さんにお話を伺いました。(2016年3月7日)

かものはしの設立の経緯について教えてください。
大学2年生の夏、東南アジアのNGOを訪問するスタディーツアーに訪れた時、初めて貧困と法執行力の弱さのために子どもを売春宿に売ってしまう問題があることを知りました。日本帰国後、その問題を解決したいという強い思いから行動をおこし、世界会議にも参加する中で現在の共同代表と出会って2002年にかものはしプロジェクトを最初は任意団体として立ちあげました。当初は対象国を問題が深刻であったカンボジアに絞り活動を開始し、2004年にはNPO法人格も取得しました。

現在はどのようなところで、どのような支援活動をしていますか?
現在はカンボジアとインドで支援活動をしています。子どもが売られる問題が解決に向かいつつあるカンボジアではハンディクラフト工房の経営、警察支援事業を行い、ハンディクラフト工房ではこれまでに約200人の最貧困家庭出身の女性達を雇用することができました。インドでは①心理回復・経済支援と②裁判・捜査支援を行っております。活動はこれまでで15つのプロジェクトを9つのパートナー団体と連携して行っています。

現地の活動で企業と協働した例について教えてください。
カンボジアでは株式会社日立テクノロジーズ様からプロボノで来てくださった方がハンディクラフト工房での材料調達を行うためのシステムを構築し、在庫管理の仕組みも考えてくださいました。これによって以前は個人の経験や勘に頼った活動をしていたハンディクラフト工房の運営の効率化を図ることが出来ました。
また、インドでは、salesforce.com Co.,Ltd.様が、インドのパートナーNGOにCRMを無償でご提供下さったことにより、被害者のケースマネージメント(救出から帰還までの一連を一貫してサポートする仕組み)をすることができるようになりました。それにより、被害者が正義を手にするために何の支援が必要なのかがわかるようになったのも大きな成果です。

企業との協働することの良いところは何ですか?
協働することによって組織の中だけでは解決することが難しかった問題を解決できることが良いところです。企業にとっても、プロボノ活動に社員を派遣することがリーダーシップ開発の機会に繋がったり、現地の活動を支援することが現地のニーズ調査のデータとして活用できたり、単なる社会貢献ではなく更に成長していくための機会と捉えて協働してもらえています。
ただ、企業から支援したいという申し出があっても企業の強みとマッチするテーマが見つけられないケースがある時に協働することの難しさを感じます。

どのような企業と協働していきたいですか?
プロボノでも、責任を持って期限を守って取り組んで下さる企業さんと恊働したいです。また、その時々のニーズにマッチしている協業の話しが出来ると、大変ありがたいです。

特定非営利活動法人かものはしプロジェクトのサイトはこちら

<取材後記>
村田さんはカンボジアでの活動を始めた当初、周囲の人たちから「子どもが売られる問題の解決は何十年と言う時間がかかるわよ。そんなことに無駄な時間を使うのは辞めなさい」と言われたそうです。しかし、現在カンボジアでは子どもが売られる問題というのはもう過去のことになりつつあります。今の状態を実現するまえには本当に様々な苦労があったのだと思いますが、かものはしの活動から世界の困難な課題でもあきらめなければ解決できるんだ、ととても勇気づけられました。これからもPFCとして、かものはしプロジェクトのビジョンの実現を支援していきたいと思います。