【NPOインタビュー】特定非営利活動法人ジェン(JEN)

(2016年2月12日取材)
濱坂さん広報マネジャーの濱坂都さんにお話しを伺いました。

・JENの設立の経緯について教えてください。
旧ユーゴスラビア地域における緊急救援のため、JENの前身である日本初の連合NGO「日本緊急救援NGOグループ(=Japan Emergency NGOs)」として1994年1月に設立され、難民・避難民への支援活動を開始しました。以来一貫して、「心のケアと自立の支援」をモットーに、世界各地で戦争や紛争、また自然災害の犠牲となった人々への支援活動を行っています。2000年にはNPO法人格を取得して、団体名を「特定非営利活動法人ジェン(JEN)」に改称されました。2005年9月1日より国税庁から、「認定特定非営利活動法人(認定NPO)」として認定されました。

・現在はどのようなところで、どのような支援活動をしていますか?
2016年1月現在、アフガニスタン、イラク、スリランカ、パキスタン、ハイチ、東北、ヨルダン(シリア難民支援)で、緊急支援物資配布、教育支援、衛生環境改善支援、生計回復支援、コミュニティ再建、心のケアなどを行っています。 紛争や災害により厳しい生活を余儀なくされている人々が、自らの力と地域の力を最大限に活かして、精神的にも経済的にも自立した生活を取り戻し、社会の再生をはたすことができるようになることを目指し支援活動を行っています。

・現地の支援事業で企業と協働した例について教えてください。
東日本大震災では、多くの企業からたくさんのご支援をいただきました。被災された方へ配布するための衣服や生活必需品、また物資を運搬するための車輌の提供から始まり、瓦礫除去のために週2回、社員をボランティアとして派遣下さる企業もありましたし、心のケアのために、町内会にコミュニティカフェを建て運営するという協働事業もありました。
また海外だと、スリランカにおいて、スマトラ島沖地震の津波で大きな被害を受けた人々に対する自立支援を行うため、ある食品会社と一緒に農業指導から調理法など栄養指導までの取り組みを協働させていただいたこともあります。コンポストやたい肥製造の技術指導で収穫量が増し収入が増加、同時に調理法の改善で、より栄養価の高い食べ物が作れるようになり、人々の健康状態の改善に寄与しました。

・企業との協働案件の良いところや難しいことは何ですか?
企業にとっては新たなビジネスを見つける機会になり、NPO単体では実現の難しい大きな取り組みができることが良いところです。例えば世界中の電気が届かず、灯油ランプを使っている家庭では健康に悪く火事の危険性が悩みでした。しかし、企業がソーラーランタンを提供してくれたことで悩みは解決し、企業にとっては製品の良さを広く知ってもらう絶好の機会となりました。
難しさとしては、支援地域の状況が刻一刻と変わるため、計画通りに企業の強みが現地の課題解決に活かせないことが発生する可能性もあることです。その場合には、パートナー企業に状況の変化への理解を促し、修正案や新たな提案を行いどのようにするかを都度話し合います。

・今後はどのような形で企業と組みたいですか?
現在、難民人口は65百万人に達しており、これは世界的に深刻な課題ですが、同時に支援できることを見極めれば企業にとって新たなビジネスチャンスになる可能性も秘めています。65百万人というのは、1つの大国に匹敵するような規模ですから。シリア難民のためのザアタリ難民キャンプで、私達は支援活動を続けていますが、そこには7万9千人の人が住んでいます。その難民キャンプの中は、自然発生的に商店が立ち並び、あたかも村のようです。また、住民の生活環境向上のために、NGOが様々な実験を行うエリアが存在します。たとえば、そのエリアで企業もNGOと協働し、製品やサービスを提供するのはどうでしょう。
そのためには、両者が対話を重ね、お互いの強みを生かした「協働」による社会課題解決の実現を目指す戦略的パートナーとなることが必要です。