マテリアリティ

マテリアリティとは「組織のパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性のある課題」のことである。
『マテリアリティ』という言葉は従来は会計用語で「財務に重要な影響を及ぼす重要な要因」という意味合いで使われてきた。しかし、2006年に英国の非営利組織アカウンタビリティ社が「マテリアリティ・レポート」が公表したことをきっかけに、現在の定義で使われるようになった。
マテリアリティの定義が変わったのは、企業が持続的な成長をしていくためには、短期的な財務のマテリアリティだけでなく、どの課題が長期的に成功に最も重要な影響を及ぼすのか、マテリアリティのフォーカスを広げて検討する必要が出てきたことが背景にある。
現在は、CSR関係者の間で、自社が取り組むべきCSRのテーマを選択する際の考え方として浸透しつつある。

では、フォーカスを広げた後にどのようにマテリアリティの特定していくのか、その方法について「マテリアリティ・レポート」に基づいて以下に概要を説明する。

1. 課題の認識
・自社やステークホルダーに関係する、あるいは関係するかもしれない、できるだけ広範な環境・社会・経済課題をリストアップし、それらの重要度を評価するための情報を収集する。
2. 優先順位づけ
・重要度に基づき課題を振り分け、適切な意思決定と行動を可能するための必要な情報を特定する。特定にあたっては、自社の経営戦略との整合性も念頭に入れる。
3. レビュー
・マテリアリティの特定が適切で、社内外にも信頼されるものか確認する。また、自社もその結果を受け入れ、最終的に取締役会での承認を行う。

なお、「マテリアリティ・レポート」が提示したフレームワークの概念は、現在「GRI G4 ガイドライン」「AA1000 保証基準」等に活用されている。

また、CSR企業総覧2014年(東洋経済新報社)によると、CSR活動のマテリアリティを設定している企業は38.9%という結果がでている。